2007年 11月 07日
『キングダム/見えざる敵』 |
あまり気乗りしなかった『キングダム/見えざる敵』ですが、前売り券が無駄になりそうだから…というお誘いで観に行ってきました。
冒頭にさっくりとバックグラウンドを説明してくれるので、サウジとアメリカの関係をほとんど知らなくても、ほどほどには経緯を理解できるのがありがたい。
サウジの外国人居住区で起こった自爆テロの捜査に(歓迎されざる)FBIが乗り込んでいくわけです。構図は全く異なるとはいえ、911のテロに怒り狂ったアメリカが軍を送り込むという精神構造と似たような感じだなぁ、と思いました。
何の罪もない人たちがテロの犠牲になるのは確かに許せないこと。
捜査に乗り込むことには理解できます。けれども、結局はアメリカだって似たようなことをやってることになるんですよね。憎しみや復讐は憎しみと復讐の連鎖しか生みません。
ある意味、アメリカ至上主義に近い内容展開だし、ストーリーそのものはものすごくわかりやすい。「こうなるな」という予想がほぼ100%そのとおりになります。結局、犠牲になるのは現地のマジメな正義感ある人たちなのです。
そして最後のシーン、とても印象的です。
アメリカ人が同僚に慰めとしてささやいた言葉、テロの首謀者が孫娘に言い遺した言葉、どちらもまったく同じ言葉でした。それが平和を願う、思いやりにあふれた(ある意味思いやりなのかもしれないけど)言葉であれば救われたのだけど…。残酷で非情で救いのない言葉です。中東とアメリカを象徴するかのような言葉に、背筋が薄ら寒くなる思いでした。
おそらく、自戒や警鐘的な意味もあるのでしょう。それが映画そのものの救いと言えば救いなのですが…。
すごくおススメです!というわけではないけど、考えるところはいっぱいあります。
自分自身の考えとかを見直したいときにはいいかもしれません。
by kazemoyodays
| 2007-11-07 23:30
| movies