2007年 11月 11日
『グッド・シェパード』 |
難しい…といった言葉が多くて、それほど期待しないで行きました。
期待していなかったせいか、すごくおもしろかったです。少し複雑に時間軸が交差するために、気をつけていないとややこしくなってしまいますが、国や組織と、家族の板ばさみとなる姿や、制約あるなかで誠実にあろうとする姿は、感情的でないぶんリアリティがありました。
誰も信じてはいけない。
言うは易し行うは難し。自分の周りの人たちを疑いながら、いつも秘密を抱えながら生きていかなければならないのは、思っている以上に辛いことだと思う。だからこそ、ミロノフのことも見抜けなかったのかもしれないし、息子のことも見逃してしまったのかもしれない。
確固たる意思と信念を持っていても、心が揺らぐこともあれば、弱くなってしまったり、感情的になってしまったりもする。そこが魅力的でもあるのよね。人間くさくって。敵であるのに同じような立場であるユリシーズと、どこか心を通わせてしまうのも、なんとなくわかります。
エドワードのことを中には家族を顧みない、冷たい男…と見る人がいるかもしれない。確かにアンジェリーナ・ジョリー扮する奥さんとの関係は、良好とは言えないけれど、彼なりに誠意を尽くしていたように、私は思います。
ちなみに、『グッド・シェパード』を邦訳すると「良き羊飼い」。これは聖書に由来するもの。いくつか羊飼いの話はあるけれど、この場合当てはまるのは「よい羊飼は、羊のために命を捨てる」(ヨハネによる福音書第10章11節)になるのかな。意訳すれば「よい国民でありCIA職員は、国と組織のために命を捨てる」ってことですね。
問題は、彼(エドワード)自身というよりも、国のために命を捨てさせる国と組織なんじゃないかしら…という気がしてなりません。でもこれは必ずしも否定しきれることではないとも思うのだけども…。
やっぱりスパイが不要になるような、平和な世界を実現させることが一番なんでしょうね。
by kazemoyodays
| 2007-11-11 23:05
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